刃に宿る責任感、森を守り次世代へつなぐ想い

リーダー S.Yさん

青森プライウッド株式会社 LVL工場 製造課

1日の過ごし方

5:30

起床

家族分のお弁当作り+猫のトイレ掃除。会社へ移動する。

7:45

出勤

工場に到着。

8:00

朝礼・現場ミーティング

8:10

午前の業務開始

機械動作確認後単板品質チェックを行う。
問題がないことを確認し生産開始。

10:00

短休憩

水分補給を行う。

10:15

刃物の交換1

刃物交換後再度単板の品質チェック。チェック後生産再開、単板チェックは刃物交換の度実施する。

12:00

昼休憩

13:00

午後の業務開始

刃物の交換を行う。

15:00

短休憩

水分補給を行う。

15:15

単板の品質チェック

後工程から出てくる乾燥単板の品質チェック作業を行う。
物品、在庫チェック、発注作業を行う。

17:00

その他業務

物品、在庫のチェックや発注作業を行う。

17:30

退勤

インタビュー

安全と品質を両立させる“要”の現場

私が担当しているのは、「バーカー」と「ロータリーレース」の工程です。ここでは、原木を「単板」という薄い板に剥く作業を行っていて、私はそのオペレーター業務と現場管理を任されています。この工程、実は製造の“最上流”にあたる部分なんです。ここでわずかでもズレがあると、後の工程での歩留まりや製品の精度に大きな影響が出てしまいます。だからこそ、私たちの現場では「安全」と「品質」、そのどちらも絶対に妥協できないんです。刃物を使った作業や、高所での作業もあるので、まずは危険源を“見える化”することから始めました。たとえば、刃物交換のタイミングや単板検査の頻度などはすべて数値で管理。異常があれば、その瞬間にラインを止める“即時停止ルール”を徹底しています。現場ミーティングでは、不良の発生率や交換履歴をホワイトボードにまとめて、チーム全員で共有・議論するようにしています。こういった積み重ねが、重大なトラブルの予兆を早めにキャッチすることにつながり、年間のライン停止時間を大幅に減らすことができました。

リーダーとして意識しているのは、「誰も迷わない判断を下すこと」。部下が判断に困ることのないように、明確な指示出しを心がけています。それと同じくらい大切にしているのが、普段のちょっとした雑談です。休憩中に若手が話してくれる「ちょっと気になったこと」って、実はすごく大事なヒントになることが多いんです。私の中では「些細な雑談がラインの命綱になる」って思っていて。現場の声を拾い上げられる空気づくりも、リーダーの役目だと思っています。

刃物への飽くなき探究心が現場を磨く

ロータリーレース工程を任されるようになってから、私はすっかり「刃物」そのものに魅了されました。休みの日にもついつい手が伸びてしまうのが、砥石と包丁。それだけじゃなく、鉋の刃も引っ張り出して、自分で研いでいます。「研磨角度をちょっと変えたら、木材の繊維への影響はどうなるだろう?」なんて考えながら、家でも小さな実験を繰り返しています。そうやって得たデータを、実際の現場で使っている自動研磨機の設定に反映させたことで、刃物の寿命もぐんと伸びました。

最近は“マイクロチッピング”という、刃先にできるごく小さな欠けにも注目しています。電子顕微鏡で観察して、「このくらい欠けが見えたら、そろそろ交換だな」という基準を、単なる“使用時間”ではなく“使用時間+欠損率”で定めるようにしたんです。その結果、歩留まりも上がって、刃物にかかるコストを前年比で8%も抑えることができました。
仲間から「包丁までプロ並みに研いでいるらしい」と冷やかされますが、現場を良くするヒントは現場の“道具”に宿ると信じています。

今や刃物の研究は、私にとって“ライフワーク”のような存在です。時間があれば、日本刀の研ぎ方を解説した文献を読んだり、北欧のナイフに使われる鋼材の熱処理方法を調べたり。木にどう刃が入っていくか、どんな鋼材がどう効くのか、そんなことを考えている時間が、自分にとっては最高のリフレッシュなんですよね。その探究心が、ちゃんと現場の改善にもつながっていると感じています。

人を育て、森を守る。青森から広がる私の挑戦

入社してまず驚いたのはそのスケール感でした。なんと一日でおよそ5,000本もの原木を加工しているんです。最初は正直「このままじゃ、日本の森がなくなっちゃうんじゃ…?」と不安にもなりました。それをきっかけに、地元・青森の森林組合や行政の植林計画に目を向けるようになり、原木を選ぶ際も「伐採年齢」や「搬出距離」といった資源循環の視点を意識するようになりました。今では資源を無駄にしない発注方法を、こちらから提案することもあります。

プライベートでは、妻の出産にあわせて育休を取得しました。ファーストウッドは有休も取りやすいので、安心して子育てに専念できましたし、復帰後もスムーズに現場へ戻ることができました。こうした「働きやすさ」を、次の世代にもつないでいきたい、そんな気持ちも芽生えました。今は、部下と一緒に資格取得にも取り組んでいます。会社のバックアップが手厚いので、フォークリフトや刃物研磨技能士といった資格も、計画的にチャレンジすることができています。「一緒に成長できる環境」があることは、本当に心強いです。

うちの職場は「笑わない日がない」って言えるくらい、明るくて気持ちの良い雰囲気です。上司も気さくで、相談すれば必ず親身になって話を聞いてくれます。そんな中でも、私が一番好きな場所は研磨室。鈍った刃がピカッと光を放ってよみがえる瞬間があって、そのとき「この刃でまた安全と品質を次につなげていけるな」と感じられるんです。

これからの目標は、刃物に宿る技術や安全文化を「見える形」にして、若手が自然と引き継げるような仕組みを作ること。森の資源を守りながら、安定して高品質な単板を届け続けるために。私はこれからも、研磨室で刃先を見つめ、現場で仲間の声に耳を傾けながら、挑戦を続けていきます。

ファーストウッドグループのここが好き

  • 安全を最優先するカルチャー
  • 地域貢献と森林資源の有効活用への本気度
  • スキルアップを後押しする人材育成の仕組み

私の好きな場所

「刃物を研ぐ“研磨室”」

鈍った刃が“正宗”のように光を放ちながら甦る瞬間に立ち会うと、仕事へのモチベーションが高まります。研磨機の金属音や火花の匂いが、私を「品質と安全をつくる職人」に切り替えてくれるのです。ここで得た気づきや感覚を現場に持ち帰り、チームと共有しながら、木材加工の未来を切り拓いていきたいと考えています。

※部署名、年次、役職は取材当時のものです